秘書の仕事内容とは?社長秘書の1日の流れと必要なスキル、役員の送迎手配のコツまで解説

秘書の仕事内容とは?業務の流れやスキル・送迎手配を解説|タブレットと手帳を持つ秘書と白手袋の運転手が後部ドアを開ける黒塗りセダン

社長や役員のそばで働く秘書。ドラマなどで見かけてあこがれる一方で、実際にはどんな仕事をしていて、1日をどう過ごしているのかは意外と知られていません。

「スケジュール管理や電話対応は想像できるけれど、ほかに何をするの?」「未経験からでもなれる?」「役員の送迎の手配って、どこまで秘書がやるの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、秘書の主な仕事内容7つと社長秘書の1日の流れ、必要なスキルや年収、未経験からの目指し方をわかりやすく解説します。あわせて、秘書の仕事の中でもつまずきやすい役員の移動・送迎の手配について、車の使い分けや運転手との連絡のコツまで実務目線で紹介します。

  • 秘書の仕事内容を具体的に知りたい方
  • 社長秘書・役員秘書への転職や配属を考えている方
  • 秘書として働いていて、送迎の手配や段取りを見直したい方
  • 役員の移動まわりの業務負担を減らしたい総務・秘書室の方

ぜひ参考にしてください。

目次

秘書とは?役員や社長を支える仕事の役割

秘書とは、社長や役員など組織の上位にいる人が本来の仕事に集中できるよう、身の回りの業務を引き受けて支える仕事です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag の「秘書」)でも、郵便物の仕分けやスケジュール管理、来客・電話の対応、文書作成などを通じて上司を補佐する仕事として紹介されています。

ひと言でいえば、秘書は上司の「時間」と「手間」を預かる仕事です。上司が1時間かけて行っていた調整や手配を秘書が引き受ければ、その1時間を経営判断や商談に使えるようになります。秘書の働きが会社全体の生産性に直結するといわれるのはこのためです。

社長秘書とは?役員秘書・グループ秘書との違い

企業で働く秘書は、担当する相手の人数と立場によって大きく3つに分けられます。

種類担当する相手特徴多い職場
社長秘書社長(代表取締役)1人社外の要人対応や機密情報が多く、もっとも高い判断力と口の堅さが求められる中小企業〜大企業
役員秘書専務・常務・取締役など1〜数人担当役員の予定管理が中心。役員同士の日程調整も多い中堅〜大企業
グループ秘書部署や役員チーム全体(数人〜10人程度)複数人の予定を同時に管理し、優先順位を調整する力が必要大企業・外資系企業

社長秘書は、会社の顔である社長の代わりに社内外の窓口になる存在です。取引先の経営者や金融機関、株主などとのやり取りも多く、言葉づかいや判断ひとつが会社の印象を左右します。中小企業では社長秘書が総務や経理を兼ねていることも珍しくありません。

一方、大企業では秘書室に複数の秘書が所属し、1人の秘書が1人の役員を専任で担当する「個人付き」と、チームで複数の役員を支える「グループ秘書」を使い分けるのが一般的です。グループ秘書は担当が多い分、誰の予定を優先するかの判断が仕事の質を左右します。

秘書と一般事務・アシスタントの違い

秘書と一般事務はどちらもパソコンや書類の仕事が多いため混同されがちですが、誰のために働くかがいちばんの違いです。

職種支える相手仕事の中心求められる力
秘書特定の上司(社長・役員)上司の予定・人脈・移動を管理し、時間を生み出す先回りの気配り、判断力、守秘意識
一般事務部署やチーム全体書類作成・データ入力・電話対応など定型業務正確さ、スピード
アシスタント営業担当や専門職のチーム資料作成や受発注など、担当業務の補助業務知識、調整力

一般事務は決まった手順を正確にこなすことが評価されやすいのに対し、秘書は上司の考えや状況を読んで、指示される前に動くことが求められます。たとえば「明日の訪問先までの移動時間が足りないから、前の会議を15分早めに切り上げられるよう調整しておく」といった判断を自分で行うのが秘書の仕事です。

企業秘書・議員秘書・医療秘書など働く場所による違い

秘書は企業だけでなく、さまざまな職場で活躍しています。働く場所によって必要な知識や働き方が異なります。

種類主な職場仕事の特徴
企業秘書一般企業の秘書室・役員室経営者の予定管理、来客対応、会食や出張の手配など。もっとも求人が多い
議員秘書国会・地方議会の議員事務所地元対応や政策の調査、陳情の受付など。国会議員の公設秘書には国家資格(政策担当秘書)もある
医療秘書病院・クリニック医師のスケジュール管理、学会準備、医療事務の補助など。医療用語の知識が必要
法律秘書法律事務所弁護士の予定管理、裁判所への書類提出、資料整理など
外資系秘書(バイリンガル秘書)外資系企業英語でのメール・電話・会議の調整が日常的に発生する

この記事では、もっとも働く人が多い企業の社長秘書・役員秘書を中心に解説します。

秘書の主な仕事内容7つ

秘書の仕事は幅広いですが、大きく次の7つに分けられます。どれも「上司が本来の仕事に集中できる環境をつくる」という目的でつながっています。

スケジュール調整・管理

秘書のもっとも中心的な仕事がスケジュール管理です。会議・商談・会食・出張など、上司の予定をすべて把握し、無理のない順番と時間配分に組み立てるのが役割です。

単に予定を入れるだけではありません。たとえば次のような点まで考えて調整します。

  • 訪問先から次の会議室までの移動時間に余裕があるか
  • 重要な商談の前に、資料に目を通す時間が確保されているか
  • 会食が続きすぎて上司の体調に負担がかかっていないか
  • 社外の相手の都合と、社内の会議日程がぶつかっていないか

予定が重なったときに、どちらを優先するかを上司に確認できるよう、判断材料(相手の重要度・期限・代わりの候補日)をそろえて相談するのも秘書の大切な仕事です。最近は Outlook や Google カレンダーなどの共有カレンダーで予定を管理し、関係者がリアルタイムで確認できるようにしている会社が増えています。

電話・メール・郵便物の対応

上司あての電話やメール、郵便物の窓口になるのも秘書の仕事です。すべてを上司に回すのではなく、内容を見て振り分けるのがポイントです。

電話用件と相手を確認し、すぐ取り次ぐ/折り返しにする/秘書が回答する、を判断する
メール上司のアドレスに届くメールを確認し、返信の下書きや日程候補の提示を代行することもある
郵便物請求書・招待状・ダイレクトメールなどを仕分け、重要なものだけを上司に渡す
お礼状・年賀状贈答品へのお礼状や季節のあいさつ状を手配・作成する

取り次ぐかどうかの判断基準は、上司ごとに異なります。配属されたら早めに「必ずつないでほしい相手」「断ってよい営業電話」の線引きを確認しておくと、迷いが減ります。

来客対応と会議の準備

取引先や来賓を迎える来客対応も、秘書の重要な仕事です。受付からのご案内、お茶出し、お見送りまで、来客が会社に抱く印象を左右する場面です。

会議の準備では、会議室の予約、出席者への案内、資料の印刷や配布、オンライン会議のURL発行、議事録の作成などを担当します。役員会議や取締役会のように重要な会議では、席次や名札、資料の差し替えなど細かな準備が必要になります。来客の到着が遅れる、会議が延びるといった変化にもその場で対応しなければなりません。

文書・資料の作成と管理

上司の代わりに文書を作成したり、会議資料をまとめたりするのも秘書の仕事です。社内向けの通知文、社外へのあいさつ状、お礼状、講演原稿の下書き、プレゼン資料の体裁調整など、内容は多岐にわたります。

作成した文書や契約書、名刺などを後からすぐに取り出せるよう整理・保管することも大切です。特に経営に関わる文書は機密性が高いため、保管場所やアクセス権限の管理にも注意が必要です。

出張・会食・贈答品などの各種手配

上司の出張や会食、贈答品の手配も秘書の担当です。手配の種類ごとに確認すべきことを整理すると、次のようになります。

手配の種類主な内容確認しておきたいこと
出張新幹線・航空券・ホテルの予約、行程表の作成上司の好みの座席、移動の乗り継ぎ時間、現地での移動手段
会食お店の選定・予約、参加者への案内、手土産の準備相手の好み・アレルギー、個室の有無、帰りの車の手配
贈答品お中元・お歳暮・お祝い・お見舞いの品選びと発送相手との関係性、過去に贈った品、のしの書き方
慶弔対応祝電・弔電、供花の手配、香典の準備社内規程の金額基準、宗派や日程

過去の手配内容を記録しておくと、同じ相手に同じ品を贈ってしまうミスや、店選びの迷いを防げます。上司ごとの好みをまとめた「手配ノート」を作っている秘書も多くいます。

役員の移動・送迎の手配

社長や役員の移動・送迎を手配するのも、秘書の大切な仕事です。会議や商談、会食の予定に合わせて、役員車・ハイヤー・タクシーなどの移動手段を確保し、運転手に行き先や時間を伝えます。

移動の手配は、ほかの予定すべての土台になる仕事です。車の到着が遅れれば商談に遅刻し、行き先を間違えれば会食に間に合いません。スケジュールが完璧でも、移動でつまずくと1日の予定がすべて崩れてしまうため、多くの秘書が神経を使う業務です。具体的な進め方は、後半の「秘書が担う役員の移動・送迎手配の実務」で詳しく解説します。

経費精算や社内調整などの付随業務

ほかにも、上司の交際費や出張費の経費精算、社内の各部署との調整、来客名簿や名刺の管理、役員室の備品管理など、細かな付随業務があります。

中小企業では、社長秘書が総務・人事・経理の一部を兼ねていることも多く、会社全体の動きを把握できる立場になりやすいのも特徴です。どこまでが秘書の仕事かは会社によって大きく異なるため、配属時に業務範囲を確認しておきましょう。

社長秘書の1日の流れ

社長秘書の1日は、上司の予定に合わせて動くため日によって大きく変わります。ここでは、一般的な企業の社長秘書の1日をモデルケースとして紹介します。

時間主な業務
7:30〜8:30メール・ニュースの確認、当日の予定と送迎の最終確認
8:30〜9:00社長の出社対応、当日のスケジュール報告
9:00〜12:00会議の準備・同席、電話やメールの対応、資料作成
12:00〜13:00昼食(社長の会食がある日は時間をずらす)
13:00〜16:00来客対応、社長の外出サポート、出張や会食の手配
16:00〜18:00翌日以降の予定調整、経費精算、書類整理
18:00〜会食の送り出し、翌日の準備、必要に応じて会食後の帰宅送迎の確認

出社前から午前中の業務

社長秘書の朝は、社長より早く始まるのが一般的です。出社したら、まずメールや留守番電話、郵便物を確認し、社長に急いで伝えるべき連絡がないかをチェックします。業界ニュースや取引先の動向に目を通しておくと、社長との会話がスムーズになります。

社長が自宅から役員車で出社する場合は、運転手と朝のお迎え時間や道路状況を確認しておきます。社長が出社したら、当日の予定や注意点(重要な来客、資料の準備状況、移動の時間など)を簡潔に報告します。午前中は会議の準備や同席、電話・メールの対応、資料作成などを並行して進めます。

午後の来客対応と外出のサポート

午後は来客対応や社長の外出が多くなる時間帯です。来客があれば受付からの案内、お茶出し、お見送りまで対応し、社長が外出する場合は、出発時間に合わせて車を待機させる、訪問先の担当者名や資料を確認して渡す、といったサポートを行います。

社長が外出している間は、社内からの問い合わせ対応や、翌週以降のスケジュール調整、出張や会食の手配などを進めます。外出先で予定が延びた、次のアポイントが前倒しになったといった連絡が入れば、運転手や関係者にすぐ共有し、その後の予定を組み直します。

夕方以降の会食・翌日の準備

夕方以降は、翌日の準備と、夜の会食がある日はその送り出しが中心です。会食の店や参加者、手土産を最終確認し、会食後の帰りの車の手配まで済ませておくのが基本です。

翌日の予定表を作り、必要な資料をそろえたら1日の業務は終了です。会食や出張が多い時期は帰りが遅くなることもありますが、最近は働き方改革の流れもあり、会食の終了時刻の連絡は運転手が直接受ける、翌日の準備は日中に前倒しで済ませるなど、秘書が遅くまで残らない仕組みを整える会社も増えています。

秘書が担う役員の移動・送迎手配の実務

ここからは、秘書の仕事の中でも特にミスが許されない役員の移動・送迎の手配について、実務で役立つポイントを解説します。

役員車・ハイヤー・タクシーの使い分け方

役員の移動手段は、主に役員車・ハイヤー・タクシーの3つです。それぞれの特徴を知っておくと、場面に合わせて最適な手段を選べます。

移動手段特徴向いている場面注意点
役員車(社用車+専属運転手)会社の車を、決まった運転手が運転する毎日の通勤送迎、定例の訪問、機密性の高い移動運転手の確保・労務管理・車両管理の手間がかかる
ハイヤー予約制の貸切車。黒塗りの高級車と接客に慣れた乗務員が多い来賓の送迎、重要な会食、役員車が使えない日の代わり予約が必要。時間制の料金で、長時間の待機は費用が高くなりやすい
タクシー流し・配車アプリですぐ呼べる短距離の移動、急な予定、少人数での移動車種や乗務員を選びにくく、繁忙時間は配車が遅れることがある

目安としては、日常の送迎は役員車、特別な来賓や役員車が使えない日はハイヤー、急な短距離移動はタクシーという使い分けが一般的です。会食の帰りなど時間が読めない移動では、待機時間の費用がかさむハイヤーより、役員車に待機してもらう、あるいは配車アプリのタクシーを呼ぶほうが合理的な場合もあります。

役員車を日常的に使う会社では、専属の運転手をどう確保するかも課題になります。運転手を雇う方法や費用の考え方は、専属運転手を個人契約するときの費用やメリット・デメリットの記事で詳しく解説しています。

送迎スケジュールを組むときの時間の読み方

送迎の時間を組むときは、地図アプリの所要時間をそのまま使うのではなく、余裕を上乗せして考えるのが基本です。

  • 朝夕の通勤時間帯や雨の日は、所要時間を1.3〜1.5倍程度で見込む
  • 訪問先の到着は、約束の10〜15分前を目安にする(駐車場所や受付の時間も考える)
  • ビルの車寄せや駐車場の有無、乗降できる場所を事前に確認しておく
  • 月末・五十日(ごとうび)や大型イベントの日は、都心の渋滞が増えやすい
  • 会議の後に移動がある場合は、会議の延長も想定して次の予定までの間隔をとる

特に注意したいのが、連続した予定の移動時間を詰めすぎることです。1件目が10分延びるだけで、2件目・3件目にも遅れが連鎖します。重要な予定の前には、多少の遅れを吸収できる「バッファ時間」を入れておきましょう。

運転手との連絡で伝えておくべきこと

送迎をスムーズに進めるには、運転手との情報共有が欠かせません。前日までに、次の内容をまとめて伝えておくと安心です。

日時お迎え時間・出発時間・到着希望時間
行き先住所、ビル名、車寄せや乗降場所、駐車場の有無
同乗者役員本人のほか、来客や同行者がいるか、人数
待機の有無訪問先で待機するのか、一度戻るのか、終了予定時刻
次の予定移動後の予定と、そこまでに着いておきたい時間
連絡方法予定変更時に秘書・役員のどちらから連絡するか

当日の連絡ルールを決めておくことも大切です。たとえば「会食が終わる30分前に秘書から運転手へ連絡する」「役員が直接運転手に連絡してよいのはこの場合だけ」など、誰が・いつ・どの手段で連絡するかを決めておくと、連絡の行き違いを防げます。

また、運転手には日々の安全運転管理も欠かせません。社用車を一定台数以上使う事業所では安全運転管理者の選任が必要で、運転前後のアルコールチェックも義務づけられています(警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」)。役員車の運転手がこうしたチェックを受けているかも、秘書が確認しておきたいポイントです。

急な予定変更や運転手の欠勤が起きたときの対応

秘書を悩ませるのが、急な予定変更と運転手の欠勤です。いざというときに慌てないよう、あらかじめ代わりの手段を決めておくことが重要です。

起きることすぐにやること日ごろの備え
会議・会食が延びた運転手に終了見込み時刻を伝え、次の予定の相手に遅れる可能性を連絡する予定の間にバッファ時間を入れておく
予定が前倒しになった運転手に出発時間の変更を伝え、車を前倒しで待機させる運転手がすぐ動ける待機場所を決めておく
運転手が病気で急に休んだハイヤーを手配する、社内の運転できる人に依頼するなど代わりを確保するハイヤー会社の連絡先と法人契約、代わりの運転手の確保方法を決めておく
事故や渋滞で遅れる役員に状況を伝え、相手先へ連絡。必要ならタクシーや電車に切り替える主要な訪問先までの別ルート・別手段を把握しておく

運転手が1人だけの体制だと、その人が休んだ日に送迎が止まってしまいます。運転手の病欠や休暇に備えて、代わりの運転手を確保しておくことは、秘書だけでなく会社として考えておきたい点です。運転手の手配を外部の専門会社に任せ、欠勤時の代わりも含めて対応してもらう方法もあります。

移動中の情報管理と守秘義務の注意点

役員車の中は、役員が電話で商談をしたり、同乗者と経営の話をしたりする場所です。車内は社外の人が同席する会議室と同じくらい情報管理に気をつけるべき場所といえます。

  • 運転手と秘密保持契約(NDA)や守秘義務の誓約を交わしておく
  • 車内に機密資料を置いたままにしない(降車時に秘書や役員が持ち帰る)
  • 運転手に渡す行程表には、必要以上の情報(商談の内容など)を書かない
  • タクシーやハイヤーなど社外の車では、車内での電話の内容に注意してもらう
  • 役員の自宅住所や行動予定は、関係者以外に共有しない

役員の自宅住所や行動予定は、取り扱いを誤ると役員本人の安全にも関わる情報です。顧客や取引先の個人情報を含む資料を扱う場合は、個人情報保護委員会が示す個人情報保護法の考え方も踏まえて、社内ルールを整えておきましょう。

秘書の仕事に必要なスキル

秘書に求められるのは、特別な才能よりも、日々の仕事の中で磨ける力です。ここでは6つのスキルを紹介します。

先回りして動ける気配り

秘書にもっとも大切なのが、上司に言われる前に必要なことに気づいて動く力です。たとえば、雨の予報なら車寄せのある出入口を案内する、長時間の会議の後には次の予定の前に一息つける時間を入れる、といった気配りです。

気配りは、上司をよく観察することで身につきます。好み・口ぐせ・判断の傾向をメモしておき、「この場面ならこうしてほしいはず」と予測する習慣をつけると、少しずつ先回りできるようになります。

優先順位をつける段取り力

秘書の手元には、毎日たくさんの依頼が同時に集まります。すべてを順番にこなしていては間に合わないため、期限と重要度で優先順位をつける力が必要です。

急ぎの依頼が重なったときは、自分だけで判断せず「AとBのどちらを先に進めましょうか」と上司に確認するのも立派な段取りです。1日の始まりにやることを書き出し、締め切りの近いものから手をつける習慣をつけると、抜け漏れが減ります。

社内外と調整するコミュニケーション力

秘書は、上司と社内外のさまざまな人との間に立つ仕事です。役員同士の日程調整、取引先とのアポイント調整、運転手やお店との連絡など、立場の違う相手と気持ちよく話を進める力が欠かせません。

調整がうまい秘書は、相手に選択肢を示すのが上手です。「来週どこか空いていますか」ではなく「火曜の14時か木曜の10時はいかがでしょうか」と具体的に提案すると、やり取りの回数が減り、相手の負担も小さくなります。

口の堅さと情報管理の意識

秘書は、人事・業績・M&Aなど、社内でもごく一部の人しか知らない情報に触れる立場です。どれだけ仕事ができても、情報を漏らしてしまえば信頼は一瞬で失われます。

同僚との雑談で上司の予定を話さない、資料を机に置きっぱなしにしない、社外でパソコンの画面を開かないなど、日常の小さな行動の積み重ねが情報管理です。SNSへの投稿にも注意が必要です。

ビジネスマナーとPCスキル

言葉づかい・電話応対・来客対応・席次などのビジネスマナーは、秘書の基本です。特に来客対応や会食の場では、上座・下座の席次や名刺交換の作法など、細かなマナーが会社の印象を左右します。

PCスキルでは、Word・Excel・PowerPointでの文書や資料の作成、Outlook や Google カレンダーでの予定管理、Teams・Zoom などのオンライン会議ツールの操作が求められます。最近はチャットツールや経費精算システムなど、使うツールの種類も増えています。

語学力が求められる場面

外資系企業や海外取引の多い会社では、英語でのメール・電話・会議の調整が日常的に発生するため、語学力が必須になります。海外からの来客対応や、役員の海外出張の手配でも英語を使う場面が多くあります。

国内企業の秘書であれば、語学力は必須ではないケースが大半です。ただし、英語ができると応募できる求人の幅が広がり、年収アップにもつながりやすいため、キャリアを広げたい人は身につけておくと有利です。

秘書として働くメリット

大変なことも多い秘書の仕事ですが、ほかの職種では得にくいメリットもあります。

経営の現場を間近で学べる

秘書は、社長や役員の判断を間近で見られる数少ない立場です。どんな情報をもとに、どのように意思決定しているのかを日々の業務を通じて学べるのは、ほかの職種ではなかなか得られない経験です。

取引先の経営者や業界の要人と接する機会も多く、人脈や視野が広がります。秘書から経営企画・広報・人事などへキャリアを広げる人がいるのも、経営の現場を見てきた経験が評価されるためです。

どの業界でも通用するビジネススキルが身につく

スケジュール管理・調整力・ビジネスマナー・文書作成・情報管理といった秘書のスキルは、業界や会社を問わず通用するものばかりです。

業界が変わっても秘書の基本的な仕事は大きく変わらないため、転職しやすい職種といえます。結婚や出産などで働き方が変わっても、経験を生かして復職しやすい点もメリットです。

上司から頼られるやりがいがある

秘書の仕事は、上司から「あなたがいてくれて助かった」と直接感謝されることが多い仕事です。段取りがうまくいって大事な商談が成功したとき、急なトラブルを乗り越えたときには、自分の働きが会社の成果につながっている実感を得られます。

長く同じ上司を担当すると信頼関係が深まり、任される範囲も広がっていきます。上司の右腕として頼られることに、大きなやりがいを感じる秘書は多くいます。

秘書の仕事で大変なところ

一方で、秘書ならではの大変さもあります。事前に知っておくと、入ってからのギャップを減らせます。

勤務時間が上司の予定に左右されやすい

秘書の勤務時間は、上司の予定に合わせて変わりやすい傾向があります。早朝の会議や夜の会食、出張がある日は、定時どおりに始まって定時に終わるとは限りません。

ただし、時間外労働には法律で上限が設けられています(厚生労働省「時間外労働の上限規制」)。最近は秘書の残業を減らすため、会食後の連絡は運転手が直接受ける、複数の秘書で担当を交代するなどの工夫をしている会社も増えています。求人に応募する際は、残業時間の実績や会食・出張への同行の有無を確認しておくと安心です。

急な予定変更への対応が多い

上司の予定は、取引先の都合やトラブルで急に変わることがよくあります。1つの予定が動くと、会議室の予約、関係者への連絡、移動の手配、資料の準備など、関連するすべての段取りを組み直す必要があります。

予定変更が多いことを前提に、代わりの候補日をあらかじめ確保しておく、変更時の連絡先リストを作っておくなど、変化に強い仕組みを作っておくと負担が軽くなります。

成果が数字で見えにくい

秘書の仕事は、営業のように売上や契約件数で成果を示しにくい仕事です。トラブルを未然に防いだ、段取りがうまくいった、といった成果は表に出にくく、うまくいって当たり前と思われがちな面があります。

自分の仕事を評価してもらうには、改善した業務や削減できた時間を記録しておくのがおすすめです。「手配ノートを作って問い合わせ対応を半分にした」「会議資料の準備を前日までに終える仕組みにした」など、具体的な成果を伝えられるようにしておきましょう。

秘書の年収と将来性

秘書を目指すなら、年収の目安や今後の働き方の変化も知っておきたいところです。

秘書の平均的な年収の目安

厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに試算すると、従業員10人以上の企業で働く秘書の年収は、おおむね400万〜500万円台が目安です。令和5年調査では、平均月収(きまって支給する現金給与額)が約32.7万円、年間賞与が約83.6万円で、単純計算すると年収は約476万円になります。

ただし、秘書の年収は勤め先や担当する相手によって大きく変わります。

条件年収の傾向
大企業の社長・役員秘書平均より高い傾向。企業規模が大きいほど年収も上がりやすい
外資系企業のバイリンガル秘書英語力が評価され、平均より高めの給与が設定された求人が多い
中小企業の秘書(総務兼任など)平均〜やや低めの傾向。担当業務の幅で変わる
派遣社員の秘書時給制。都市部では一般事務より高めの時給が設定されやすい

年収を上げるには、英語力を身につける、大企業や外資系企業の役員秘書を目指す、秘書室のマネジメントを担うなどの方法があります。

AIやツールの普及で変わる秘書の役割

日程調整ツールやAIアシスタント、経費精算システムの普及で、スケジュールの空き確認やメールの定型返信、データ入力などの作業は自動化が進んでいます。「秘書の仕事はAIに奪われるのでは」と心配する声もあります。

しかし、相手の気持ちを汲んだ調整や、上司の状況を見て先回りする判断は、ツールでは代わりにくい部分です。来客対応や会食の手配、運転手や関係者との細やかな連絡も、人が担う価値が大きい仕事です。

今後の秘書には、定型作業をツールに任せて生まれた時間を、上司の意思決定を支える情報収集や社内外の調整など、より付加価値の高い仕事に使うことが求められます。ツールを使いこなす力は、これからの秘書にとって大きな強みになるでしょう。

秘書になるには?未経験からの目指し方と役立つ資格

秘書になるために必須の資格はありません。未経験からでも目指せる仕事ですが、資格や経験があると採用で有利になります。

未経験から秘書を目指すステップ

未経験から秘書を目指す場合は、次のようなステップが一般的です。

  1. 事務職やアシスタント職で経験を積む:電話応対・文書作成・スケジュール調整の基本を身につける
  2. 秘書検定などで基礎知識を証明する:マナーや職務知識を体系的に学べる
  3. 秘書の求人に応募する:「秘書アシスタント」「役員室スタッフ」など、未経験可の求人から始める
  4. 派遣社員として秘書の経験を積む:派遣の秘書求人から経験を積み、正社員へ切り替える人もいる

営業事務や受付、接客業の経験も、秘書の仕事に生かせます。応募書類では、調整や段取り、気配りで成果を出した具体的なエピソードを伝えると評価されやすくなります。

秘書検定

秘書検定(秘書技能検定)は、公益財団法人実務技能検定協会が実施する、秘書に必要な知識とマナーを問う検定です。秘書を目指す人だけでなく、社会人の基礎マナーを学ぶ資格としても広く受験されています。

実施団体公益財団法人 実務技能検定協会
級3級・2級・準1級・1級
受験資格制限なし(誰でも受験できる)
受験料3級 3,800円/2級 5,200円/準1級 6,500円/1級 7,800円
試験内容理論(必要とされる資質・職務知識・一般知識)と実技(マナー・接遇・技能)。各領域60%以上で合格。準1級・1級は面接試験もある
2026年度の試験日第139回 2026年6月21日(終了)/第140回 2026年11月15日/第141回 2027年2月7日(2級・3級のみ)
CBT試験2級・3級は全国のテストセンターで随時受験でき、合否はその日にわかる

2026年6月の第139回では、合格率が2級56.3%、準1級42.3%でした。秘書の求人で評価されやすいのは2級以上で、面接試験のある準1級まで取ると、実務に近い応対力の証明になります。最新の日程や受験要項は実務技能検定協会の秘書検定受験要項で確認しましょう。第140回の申込受付は2026年10月13日で終了しているため、これから受ける場合はCBT試験か第141回が選択肢になります。

CBS(国際秘書)検定

CBS(国際秘書)検定は、一般社団法人日本秘書協会が認定する、日本語と英語の両方で秘書業務を行う力を評価する検定です。外資系企業のバイリンガル秘書を目指す人に向いています。

認定団体一般社団法人 日本秘書協会
試験の構成一次のプライマリー試験と、二次のファイナル試験の2段階
プライマリー試験2科目に合格すると「準CBS」に認定される
ファイナル試験4科目の筆記試験と英語での個人面接。合格するとCBSに認定される
難易度受験者の多くは実務経験者で、合格までに2〜3年かかるといわれる

難易度は高めですが、英語で秘書業務ができることを客観的に証明できるため、外資系企業への転職で評価されやすい資格です。試験日程や受験料は年度ごとに案内されるため、受験を考える場合は日本秘書協会の最新の案内を確認してください。

MOSなどのPC系資格

MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)は、Word・Excel・PowerPoint などの操作スキルを証明する資格です。秘書は文書や資料の作成が多いため、PCスキルを客観的に示せる資格として役立ちます。

試験は全国の試験会場でほぼ毎日実施される随時試験で受けられ、Microsoft 365 に対応した「MOS 365」などのバージョンがあります。なお、MOS公式サイトによると、毎月1回の全国一斉試験は2026年12月の実施をもって終了する予定です。これから受ける場合は随時試験を前提に計画しましょう。

ほかにも、文書作成の力を証明するビジネス文書検定、英語力を示すTOEIC、マナーの基礎を学べるビジネス実務マナー検定なども、秘書の仕事に役立つ資格です。

秘書の仕事内容に関するよくある質問

最後に、秘書の仕事についてよくある質問に答えます。

秘書は男性でもなれますか?

なれます。秘書は女性が多い職種ですが、性別による制限はありません。政治家の秘書や、社長室・経営企画を兼ねる社長秘書などでは男性も多く活躍しています。求められるのは性別ではなく、気配り・段取り力・口の堅さです。男性役員の会食や出張に同行しやすい、といった理由で男性秘書を求める会社もあります。

秘書は残業が多いですか?

会社や上司によって大きく異なります。上司の会食や出張が多い職場では残業が増えやすい一方、秘書が複数人いて交代制をとっている職場や、会食後の連絡を運転手が直接受ける仕組みがある職場では、残業が少ない傾向があります。応募前に、月の平均残業時間や会食・出張への同行の有無を確認しておくと安心です。

秘書検定がないと秘書になれませんか?

秘書検定がなくても秘書にはなれます。秘書に必須の資格はなく、実務経験や人柄を重視して採用する会社も多くあります。ただし、未経験から応募する場合は、秘書検定2級以上があるとマナーや基礎知識の証明になり、書類選考で有利になりやすいです。

社長秘書が役員の運転をすることはありますか?

中小企業などでは、秘書が社用車を運転して社長を送迎するケースもあります。ただし、本来の秘書業務と運転を兼ねると、移動中に電話やメールの対応ができず、運転中の事故リスクも秘書が負うことになります。

秘書が運転を担当する場合は、会社の自動車保険が秘書の運転もカバーしているか、安全運転管理者による運転前後のアルコールチェックの対象になっているかを確認しておきましょう。送迎の頻度が多い場合は、お抱え運転手のような運転の専任者を置くほうが、秘書の負担と事故のリスクを減らせます。

秘書の業務を外部に任せることはできますか?

できます。スケジュール調整・メール対応・資料作成などは、オンライン秘書(オンラインアシスタント)サービスに任せる方法や、人材派遣会社から秘書を受け入れる方法があります。社内の秘書は、上司のそばでしかできない来客対応や判断が必要な調整に集中し、定型業務を外部に任せる、という分担も増えています。

任せる際は、機密情報の扱いについて秘密保持契約を結び、外部に渡してよい情報の範囲を決めておくことが大切です。

役員の送迎手配はどこまで秘書の仕事ですか?

一般的に、秘書が担うのは移動手段の確保と、運転手・関係者への連絡・調整までです。役員車の日々の点検や給油、洗車、運転手の勤怠管理などは、総務部や車両管理の担当、または運転手本人が担当するのが一般的です。

ただし、中小企業では秘書が車両管理まで兼ねていることもあります。業務範囲があいまいなまま秘書に集中すると負担が大きくなるため、誰が何を担当するのかを社内で決めておくのがおすすめです。送迎の手配そのものを、運転手ごと外部の専門会社に任せる会社もあります。

役員の送迎や運転手の手配ならフィールドサービス

役員運転手・専属ドライバーの手配ならフィールドサービス|法人契約80社以上・運転委託業務歴31年超・ドライバー在籍60名以上

役員の送迎まわりの手配が秘書の負担になっている会社には、フィールドサービス株式会社の運転手手配サービスがおすすめです。貴社の役員車に、ビジネスシーンに合わせた運転士をご用意します。

秘書の手配業務の負担を減らせる理由

フィールドサービス株式会社は、業務歴31年超・法人契約80社以上の実績を持つ、役員車両の運行管理業務・運転業務の専門会社です。在籍ドライバーは60名以上で、運転手の採用・教育から、欠勤時の代わりの手配まで一括で任せられます。

  • 運転手が急に休んでも、代わりのドライバーの手配まで対応してもらえる
  • 全契約で秘密保持契約(NDA)を締結し、車内の情報管理も安心
  • 事故の初期対応まで任せられ、秘書や総務がトラブル対応に追われにくい
  • 最短1週間で運転手を手配でき、初期費用・解約手数料はなし

この記事で紹介した「運転手の欠勤で送迎が止まる」「運転手との連絡や勤怠管理まで秘書が抱えている」といった悩みは、運転手の手配と管理をまとめて任せることで解消しやすくなります。秘書は、本来の上司のサポートに集中できるようになります。

専属・スポットなど依頼できる内容と対応エリア

フィールドサービスでは、同じドライバーが継続して担当する専属運転手から、急な欠勤やイベント時のスポット対応まで、会社の状況に合わせた依頼ができます。

項目内容補足
依頼できる内容専属運転手/貴社車両への運転手の手配・業務委託/スポット短期急な欠勤時の代わり、繁忙期やイベント時の増便にも対応
料金個別見積もり条件が決まっていなくても概算の見積もりが可能
初期費用・解約手数料なし契約期間は柔軟に相談可能
車両お客様の車両を使用車両の貸し出しは行っていません
対応エリア東京都全域・神奈川・埼玉・千葉エリア外も相談可能
拠点板橋本店・日本橋・西新宿・恵比寿・横浜—
ご利用者法人・個人役員・来賓の送迎、ご家族の送迎にも対応

役員・来賓の送迎、守秘義務が必要な定期送迎、運転手の欠勤時の代わりなど、秘書が手配に悩みやすい場面で活用できます。

無料で見積もりを依頼する方法

見積もりの流れは、①フォームまたは電話で希望条件や利用目的を伝える→②条件をもとに最適なプランと見積もりが提示される→③内容に納得したら契約し、担当ドライバーの運行開始、という3ステップです。

送迎の頻度や時間帯、役員の人数、希望する運転手像を伝えると、より具体的な見積もりを受け取れます。相談や見積もりは無料で、条件が固まっていない段階でも概算を出してもらえるので、まずは気軽に問い合わせてみてください。

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