秘書室とは?役割・仕事内容と組織の作り方|社長室・秘書課との違いや役員車の手配まで解説

秘書室とは?役割・仕事内容と組織の作り方|「秘書室 とは? 役割・仕事内容と組織の作り方を解説」の文字と手帳とタブレットを抱える秘書、窓の外の黒塗りの役員車

会社の組織図や求人票で「秘書室」という部署名を見かけて、実際にはどんな仕事をしている部署なのかが気になった方も多いのではないでしょうか。

社長室や秘書課、総務部とは何が違うのか。これから秘書室を立ち上げる会社なら、何人くらいで、どんな体制で組めばよいのか。配属や転職を考えている方なら、1日の流れや求められるスキルも知っておきたいところです。

この記事では、秘書室の意味と役割、仕事内容7つ、1日の流れ、組織の作り方、メリット・デメリットをわかりやすく解説します。

  • 秘書室の役割や、社長室・秘書課との違いを知りたい方
  • 会社に秘書室を設けるか、体制づくりを検討している経営者・総務の方
  • 秘書室への配属や転職を考えている方

後半では、他の記事ではあまり触れられない秘書室が担う役員車の運行管理と運転手の手配についても具体的に紹介します。ぜひ参考にしてください。

目次

秘書室とは?役員を支える部署の役割をわかりやすく解説

秘書室とは、社長や役員などの経営層が本来の仕事に集中できるよう、スケジュール管理や来客対応、移動の手配といった周辺業務をまとめて引き受ける部署です。まずは基本的な意味と、よく似た部署との違いを整理しておきましょう。

秘書室の意味と主な役割

秘書室は、複数の秘書が所属し、会社のトップや役員をチームで支える部署です。役員1人ひとりに秘書が付く場合もあれば、数人の秘書で役員全員を担当する場合もあります。

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)でも、秘書の仕事は、経営幹部が本来の業務に集中できるよう、郵便物やメールの仕分け、スケジュール管理と社内外との調整、来客・電話対応、資料作成などを担う仕事として紹介されています。秘書室は、こうした秘書の仕事を個人ではなく組織として行う場所だと考えるとわかりやすいでしょう。

秘書室の主な役割は、大きく分けると次の3つです。

  • 役員の時間を管理する(予定の調整・移動の手配・会議の準備)
  • 役員の窓口になる(来客・電話・メールの一次対応、社内外との連絡)
  • 役員の情報を守る(機密文書の管理、関係者以外への情報漏えい防止)

役員の1時間は、会社にとって最も価値の高い時間の1つです。秘書室は、その時間を雑務に奪われないようにする経営の裏方として、会社の意思決定のスピードを支えています。

社長室・秘書課・総務部との違い

秘書室とよく混同されるのが、社長室・秘書課・総務部です。会社によって呼び方や役割の範囲は異なりますが、一般的な違いは次のとおりです。

部署名主な役割組織上の位置づけ
秘書室役員のスケジュール管理・来客対応・移動の手配など、経営層の身の回りのサポート社長や役員の直轄、または独立した部署
社長室経営企画・特命プロジェクト・社長のスピーチや広報対応など、社長の参謀役社長直轄。秘書機能を含む会社も多い
秘書課秘書室とほぼ同じ役割を担う課総務部などの部の中に置かれることが多い
総務部社内の設備・備品・文書・行事・社用車の管理など、会社全体の運営業務独立した部。秘書課を抱えることもある

いちばん大きな違いは、誰を支えるのかという点です。秘書室は役員という「人」を支え、総務部は会社全体という「組織」を支えます。社長室は、秘書の仕事に加えて経営企画や社長の特命案件まで担う、より経営に近い部署であることが多いです。

一方で、秘書室と秘書課の違いは主に組織上の位置づけです。部の中に置かれれば「課」、社長や役員の直轄であれば「室」と名付けられるのが一般的で、仕事内容に大きな差はありません。

個人秘書とグループ秘書(秘書室)の違い

秘書の働き方には、特定の役員に専属で付く個人秘書と、複数の秘書で複数の役員を担当するグループ秘書があります。秘書室は、このうちグループ秘書の形をとることが多い組織です。

比較項目個人秘書グループ秘書(秘書室)
担当特定の役員1人に専属複数の秘書で複数の役員を担当
強み役員の好みや考え方を深く理解できる情報共有しやすく、休みのときも代わりがいる
弱み秘書が休むと業務が止まりやすい役員ごとの細かな好みが伝わりにくい
向いている会社役員が少ない会社・オーナー企業役員が多い中堅〜大企業

個人秘書は、担当する役員の性格や仕事の進め方を深く理解できるため、「言わなくても伝わる」サポートができるのが魅力です。ただし、秘書が体調不良や休暇で不在になると、予定の調整が止まってしまうリスクがあります。

グループ秘書の場合は、スケジュールや来客情報を秘書室全体で共有するため、誰かが休んでも別の秘書がすぐに対応できるのが強みです。実際には、役員ごとに主担当を決めつつ、副担当や秘書室全体でカバーする折衷型をとる会社も多くあります。

企業の秘書室と自治体の秘書室の違い

秘書室(秘書課)は、民間企業だけでなく都道府県や市区町村などの自治体にもあります。自治体の秘書室は、知事や市長などの首長、副知事・副市長のスケジュール管理や来客対応、公務の随行などを担当します。

企業との大きな違いは、公務員として公の行事や議会日程に合わせて動く点です。式典での挨拶、地域の行事への出席、議会対応、国や他の自治体との調整など、首長の予定は公共性の高いものが中心になります。また、首長の公用車の運行や交際費の管理など、公金の使い方について透明性が強く求められるのも特徴です。

自治体の秘書室で働くには、その自治体の職員として採用され、人事異動で配属される形が一般的です。民間企業の秘書室とは採用の入口が異なる点を押さえておきましょう。

秘書室の仕事内容7つ

秘書室の仕事は幅広く、役員の1日のあらゆる場面に関わります。ここでは代表的な7つの仕事を紹介します。

役員のスケジュール管理・調整

秘書室の仕事の中心となるのが、役員のスケジュール管理です。会議、来客、外出、出張、会食などの予定を一元管理し、役員が無理なく動ける日程に組み立てるのが役割です。

ただ予定を入れるだけでなく、次のような点まで考えて調整します。

  • 移動時間や渋滞を見込んで、予定と予定の間に余裕を持たせる
  • 重要な会議の前には準備時間を確保する
  • 同じ時間帯に依頼が重なったときは、優先度を判断して役員に確認する
  • 体調や疲労を考えて、会食や出張が続きすぎないようにする

最近では、Outlook や Google カレンダーなどの共有カレンダーで役員の予定を管理する会社がほとんどです。秘書室のメンバー全員が予定を見られるようにしておくと、急な問い合わせにも誰でも答えられます。

来客・電話・メール対応

役員を訪ねてくる来客の受付や応接室への案内、お茶出し、役員宛ての電話やメールの一次対応も秘書室の大切な仕事です。秘書は、役員の「顔」として社外の人と最初に接する立場にあります。

電話やメールでは、役員に取り次ぐべき用件かどうかを判断することが求められます。すべてをそのまま役員に回すと役員の時間が奪われてしまうため、秘書室で対応できるものは処理し、役員の判断が必要なものだけを要点をまとめて伝えます。

来客対応では、相手の名前や役職、前回の訪問内容などを事前に確認しておくと、スムーズにお迎えできます。重要な取引先であれば、駐車場の確保や受付への事前連絡まで手配しておくと安心です。

文書作成・情報収集と管理

秘書室では、役員の名前で出す挨拶状やお礼状、社内向けの通達、会議資料などの文書を作成します。役員が話す内容の下書きや、講演・スピーチ原稿の準備を任されることもあります。

情報収集も重要な仕事です。業界ニュースや取引先の動向、面談相手の経歴などを調べて、役員が会議や商談の前に目を通せるよう整理しておきます。

そして、秘書室には役員宛ての書類や人事情報、経営会議の資料など、会社の中でも特に機密性の高い情報が集まります。紙の書類は施錠できるキャビネットで保管し、電子データはアクセスできる人を限定するなど、管理の徹底が欠かせません。

出張・会食・移動手段の手配

役員の出張や会食、日々の移動の手配も秘書室の仕事です。新幹線や飛行機、ホテルの予約、会食のお店選びと予約、手土産の準備など、役員が当日迷わず動けるように段取りを整えます。

移動手段の手配では、役員車(社用車)、ハイヤー、タクシーの使い分けを判断します。社用車がある会社では、運転手と連絡を取り合いながら送迎の時間や場所を調整するのも秘書室の役目です。会食の終了時間が読めないときは、運転手に待機場所を伝えておくなど、細かな連携が求められます。

出張の際は、旅程表を作って役員と運転手、同行者に共有しておくと、予定変更があったときにも全員がすぐに動けます。

慶弔・贈答の対応

取引先の慶事(就任・創立記念・受賞など)や弔事(訃報)への対応も秘書室の仕事です。祝電や弔電の手配、お祝いの花や供花の手配、香典の準備、役員の参列スケジュールの調整などを行います。

慶弔対応は、スピードと正確さが特に求められる仕事です。訃報は突然届くため、通夜や告別式の日程を確認し、役員が参列するか、弔電で対応するかをすぐに判断して手配しなければなりません。

お中元やお歳暮などの贈答品の管理も秘書室が担うことが多い仕事です。過去の贈答の履歴をリストで管理しておくと、贈り忘れや金額の不揃いを防げます。

会議・社内行事の準備

取締役会や経営会議、株主総会、社内の式典などの準備も秘書室が担当することがあります。会議室の予約、資料の印刷と配布、出席者への連絡、議事録の作成など、会議が滞りなく進むよう裏方で支えます。

社内行事では、入社式や表彰式、創立記念パーティーなどで役員の挨拶の段取りを整えたり、来賓の接待を担当したりします。来賓がいる場合は、送迎の車の手配や席次の確認も必要です。

役員の社内業務のサポート

役員と社内の各部署をつなぐのも秘書室の大切な役割です。各部署から役員への報告や承認の依頼を取りまとめ、役員の指示を関係部署に伝えます。

秘書室が窓口になることで、役員に情報が集まりすぎて混乱するのを防げるほか、役員の意図を正確に社内へ届けやすくなります。経費の精算や役員の稟議書類の管理、役員室の環境整備なども、この社内サポートに含まれます。

秘書室の1日の流れ

秘書室の1日は、担当する役員の予定に合わせて動くのが基本です。ここでは、社用車で送迎を受ける役員を担当する秘書の一般的な1日を紹介します。

朝|役員の出社前の準備と送迎の確認

秘書は、担当する役員よりも早く出社するのが一般的です。始業前にメールや郵便物を確認し、緊急の用件や役員の判断が必要なものを仕分けておきます。

時間の目安主な仕事ポイント
7:30〜8:00出社・メールと郵便物の確認緊急の用件を先に仕分ける
8:00運転手と当日の送迎ルートを確認渋滞情報や天候も共有する
8:30役員室の準備・当日の予定の最終確認会議資料や来客情報をそろえる
9:00役員の出社・その日の予定を報告変更点を短く伝える

役員が社用車で出社する場合は、運転手と当日のルートや到着時間を確認しておくのが大切です。事故渋滞や悪天候で到着が遅れそうなときは、最初の予定の相手に早めに連絡を入れられるよう準備しておきます。

日中|来客対応と急な予定変更への対応

日中は、来客の受付や会議の準備、電話・メールの対応を進めながら、役員の外出の段取りを整えます。役員が外出している間は、帰社後に報告すべき内容をまとめておきます。

秘書室の仕事で特に大変なのが、急な予定変更への対応です。たとえば、取引先から急ぎの面談の依頼が入れば、ほかの予定をずらして時間を作り、関係者へ連絡し、運転手にも出発時間の変更を伝える必要があります。1つの変更が、来客・会議・移動のすべてに影響するため、関係者への連絡漏れがないよう注意します。

秘書室で予定を共有していれば、担当秘書が電話対応中でも、別の秘書が運転手への連絡を代わりに行うといった連携ができます。

夕方以降|翌日の準備と会食・帰宅の手配

夕方以降は、翌日の予定の確認と資料の準備を進めます。翌朝の送迎時間、最初の会議の資料、来客の情報などを整理し、役員に翌日の予定を伝えます。

会食がある日は、お店までの送迎と終了後の帰宅の手配が必要です。会食は終了時刻が読みにくいため、運転手に待機場所と連絡方法を伝え、終わりそうになったら連絡を入れる段取りにしておくとスムーズです。会食の相手を送るための車やタクシーチケットを手配することもあります。

なお、秘書自身が夜遅くまで残る必要がないよう、終了時の連絡を運転手と役員の間で直接取れるようにしておく会社もあります。秘書室の働き方を持続可能にするためにも、こうした仕組みづくりは大切です。

秘書室の組織の作り方と体制

これから秘書室を設ける会社や、体制を見直したい会社に向けて、組織づくりのポイントを解説します。

秘書室を設けるべき会社の規模とタイミング

秘書室を設けるべき従業員数に決まった基準はありません。目安としては、役員の数が増え、1人の秘書や総務担当では予定の調整が回らなくなったときが設置を考えるタイミングです。

具体的には、次のような状況が出てきたら検討してみましょう。

  • 役員が3人以上になり、それぞれの予定調整や来客対応が増えてきた
  • 総務担当が役員のサポートに追われ、本来の業務が後回しになっている
  • 秘書が1人しかおらず、休みのときに役員の予定が止まってしまう
  • 上場準備や事業拡大で、取締役会や株主対応の業務が増えた

最初から専任の部署を作る必要はありません。まずは総務部の中に秘書担当を置き、業務量が増えてきたら秘書課、さらに秘書室として独立させるといった、段階的な進め方が現実的です。

役員ごとの担当制とチーム制の選び方

秘書室の体制には、役員ごとに担当秘書を決める担当制と、秘書室全体で役員全員を支えるチーム制があります。

体制向いている会社運用のポイント
担当制役員が少ない・役員ごとに業務の性質が大きく異なる副担当を決めておき、休みのときの引き継ぎを準備する
チーム制役員が多い・秘書の人数が限られている共有カレンダーと業務記録を徹底し、誰でも対応できる状態にする
折衷型多くの中堅〜大企業主担当を決めつつ、日常業務はチームで分担する

担当制は役員との信頼関係を築きやすい一方で、担当秘書に業務が属人化しやすいという弱点があります。チーム制は情報共有がしやすい反面、役員ごとの細かな好みや方針が伝わりにくくなります。

迷ったら、主担当と副担当を決める折衷型から始めるのがおすすめです。社長には専任の秘書を付け、ほかの役員はチームで担当するといった組み合わせも多く見られます。

業務分掌と他部署との線引き

秘書室を作るときに必ず決めておきたいのが、業務分掌(どの部署が何を担当するかの取り決め)です。秘書室の仕事は総務部や経営企画部、広報部と重なる部分が多いため、線引きがあいまいだと「誰がやるのかわからない仕事」が生まれます。

特に線引きが必要になりやすいのは、次のような業務です。

業務よくある分担の例決めておきたいこと
社用車・役員車の管理車両の管理は総務部、送迎の調整は秘書室運転手の勤怠や事故時の連絡窓口をどちらが持つか
慶弔・贈答秘書室が手配、費用は総務部や経理部で処理金額の基準と承認の流れ
株主総会・取締役会事務局は総務部や法務部、役員の準備は秘書室資料作成と当日運営の担当範囲
社長のスピーチ・広報広報部が作成、秘書室が日程を調整原稿の最終確認者

とくに役員車の運用は、車両の維持管理と日々の送迎調整で担当部署が分かれやすく、責任があいまいになりやすい業務です。この点は後半の「秘書室が担う役員車の運行と運転手の手配」でくわしく解説します。

秘書室長の役割と人材育成

秘書室長は、秘書室全体のまとめ役です。主に次のような役割を担います。

  • 秘書の業務分担と役員の担当割りを決める
  • 役員と直接やり取りし、経営層の方針を秘書室に共有する
  • 重要案件や慶弔など、判断が難しい対応を引き受ける
  • 秘書の教育と評価、機密情報の管理ルールの整備

人材育成では、ベテラン秘書の経験を属人化させない工夫が大切です。役員ごとの好みや取引先との過去のやり取り、慶弔の対応履歴などをマニュアルや共有ファイルにまとめておくと、新しいメンバーでも早く一人前になれます。

秘書室を設けるメリット

秘書室を設けると、役員本人だけでなく会社全体にもメリットがあります。代表的な3つを紹介します。

情報共有がしやすく代わりの対応もできる

秘書室では、役員の予定や来客情報、進行中の案件をメンバー全員で共有します。そのため、担当秘書が休んだときにも別の秘書がすぐに対応できるのが大きなメリットです。

秘書が1人だけの体制では、その人が不在になると役員の予定確認すらできなくなることがあります。秘書室として組織化しておけば、急な病欠や長期休暇の際にも業務が止まりません。

役員が本来の仕事に集中できる

役員が自分で予定を調整したり、出張の手配をしたり、電話の一次対応をしたりしていては、経営判断に使える時間が減ってしまいます。

秘書室がこうした周辺業務を引き受けることで、役員は経営判断や重要な商談、社内外の関係づくりといった本来の仕事に集中できます。移動中の車内を、資料確認や電話会議の時間にあてられるよう段取りするのも秘書室の腕の見せどころです。

業務を得意な人に割り振れる

秘書室では、メンバーの得意分野に合わせて業務を分担できます。たとえば、語学が得意な人は海外の取引先とのやり取りや海外出張の手配を担当し、文書作成が得意な人は挨拶状やスピーチ原稿を担当するといった形です。

1人の秘書がすべてをこなす体制に比べて、業務の質とスピードを上げやすいのが組織としての秘書室の強みです。

秘書室を設けるデメリットと運営の課題

一方で、秘書室の運営には注意しておきたい課題もあります。事前に対策を考えておきましょう。

機密情報が集まり漏えい対策が欠かせない

秘書室には、経営会議の資料、人事情報、取引先との交渉内容、役員の個人的な予定など、会社の中でも特に機密性の高い情報が集まります。情報が1か所に集まる分、漏えいしたときの影響も大きくなります。

取引先や役員の連絡先などの個人情報の取り扱いについては、個人情報保護委員会の個人情報保護法に関するページでも事業者の義務が案内されています。秘書室では、次のような対策をとっておきましょう。

  • 秘書室のメンバー全員と秘密保持の誓約を交わす
  • 書類は施錠できる場所で保管し、不要になった書類はシュレッダーで処分する
  • 共有フォルダやカレンダーの閲覧権限を必要な人に限定する
  • 役員車の運転手など、役員の近くで働く外部の人とも秘密保持の取り決めをしておく

見落とされがちなのが、役員車の車内での会話です。役員は移動中に電話会議をしたり、同乗者と重要な話をしたりすることが多いため、運転手にも高い守秘意識が求められます。

責任の所在があいまいになりやすい

チームで役員を支える体制は、裏を返すと「誰かがやってくれるだろう」という思い込みが生まれやすい体制でもあります。とくに、予定変更の連絡や運転手への指示などで連絡漏れや二重手配が起きやすい点には注意が必要です。

対策としては、案件ごとに担当者を明確にし、対応した内容を共有ツールに記録するルールを作ることが有効です。誰がいつ何をしたかが追えるようにしておくと、ミスが起きたときにも原因を特定しやすくなります。

人件費と業務量が膨らみやすい

秘書室は、売上を直接生み出す部署ではありません。役員が増えるたびに秘書を増やしていくと、人件費がかさんでいきます。

また、役員からの依頼は際限なく増えがちです。本来は他部署が担うべき仕事まで秘書室に集まり、業務量が膨らんでしまうケースも少なくありません。

コストを抑えるためには、定型業務をシステム化したり、専門性の高い業務を外部に任せたりすることも選択肢になります。たとえば、役員車の運転業務や運転手の手配を外部の専門会社に任せることで、秘書室が送迎まわりの管理に追われる負担を減らせます。

秘書室が担う役員車の運行と運転手の手配

役員車(社用車)がある会社では、その運行の調整や運転手との連携も秘書室の重要な仕事になります。ほかの記事ではあまり詳しく触れられない部分なので、実務のポイントを具体的に解説します。

役員車の配車と送迎スケジュールの組み方

役員車の配車は、役員のスケジュールと密接に関わります。秘書室は、役員の予定が決まった段階で、運転手に送迎の日時・場所・ルートを伝え、必要な移動時間を逆算して予定を組みます。

送迎スケジュールを組むときのポイントは次のとおりです。

  • 都心の移動は渋滞を見込み、余裕をもった出発時間にする
  • 訪問先の駐車場の有無や、乗降に使える場所を事前に確認しておく
  • 会食や会議の終了時間が読めないときは、運転手の待機場所を決めておく
  • 役員が複数いる場合は、車の台数と運転手の人数で回せるか事前に確認する

役員の予定・運転手の勤務時間・車の空き状況を1つのカレンダーで管理すると、ダブルブッキングや運転手の長時間労働を防ぎやすくなります。役員車の運転手は、早朝の送迎から夜の会食後の帰宅まで拘束時間が長くなりがちなので、運転手の休憩や勤務時間にも気を配ることが大切です。

役員の送迎を担う運転手の仕事内容や雇い方については、お抱え運転手の仕事内容と雇うメリット・デメリットでもくわしく解説しています。

運転手が急に休んだときの代わりの手配

運転手が1人しかいない会社では、その運転手が体調不良などで急に休むと、役員の送迎が止まってしまいます。秘書室としては、代わりの手段を事前に決めておくことが大切です。

主な代わりの手段と特徴は次のとおりです。

代わりの手段特徴注意点
社内の別の運転手・社員社内で完結し、すぐに対応しやすい運転に慣れていない社員だと事故のリスクがある
ハイヤー運転技術と接客に優れた乗務員が担当車両も含めた料金で、長時間の利用は高額になりやすい
タクシー手軽に呼べて費用も比較的抑えやすい車内での会話や電話会議には向かない場合がある
外部の専門会社による運転手の手配自社の車をそのまま使って運転手だけを手配できる事前の契約や打ち合わせが必要

社内の社員に代わりの運転を頼む場合は、運転経験や保険の補償範囲を事前に確認しておきましょう。いざというときに慌てないよう、秘書室で「誰に、どの順番で連絡するか」を手順書にしておくと安心です。

安全運転管理者・アルコールチェックとの関わり

一定台数以上の社用車を使う事業所では、道路交通法にもとづいて安全運転管理者を選任しなければなりません。対象となるのは、乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはそれ以外の自動車を5台以上使用する事業所です(自動二輪車は1台を0.5台として計算)。

警察庁の案内によると、安全運転管理者には、運転の前後に運転者の酒気帯びの有無を目視などで確認し、アルコール検知器を使った確認とその記録の1年間保存が義務づけられています。検知器を使った確認は、2023年12月1日から義務化されました。また、安全運転管理者の選任義務に違反した場合の罰則は、2022年10月1日から50万円以下の罰金に引き上げられています。

安全運転管理者は総務部の担当者が務めることが多いものの、役員車の運行を日々調整している秘書室も無関係ではありません。たとえば、次のような場面で秘書室の協力が必要になります。

  • 早朝の送迎や直行直帰のときに、運転手のアルコールチェックをどう実施するか決めておく
  • 会食の日程を組むときに、運転手が飲酒の場に同席しないよう配慮する
  • 運転手の勤務時間が長くなりすぎないよう、送迎の予定を調整する

秘書室と総務部(安全運転管理者)で役割を分けつつ、運転手の勤務状況やチェックの記録を共有できる体制を作っておきましょう。

運転業務を外部の専門会社に任せて秘書室の負担を減らす

役員車の運転手を自社で雇う場合、採用・教育・勤怠管理・休んだときの代わりの手配まで、すべて会社が担うことになります。こうした管理の負担が秘書室や総務部に重くのしかかっている会社では、運転業務を外部の専門会社に任せるのも有効な選択肢です。

外部の専門会社に任せると、次のようなメリットがあります。

  • 運転手の採用や教育の手間がかからない
  • 運転手が休んだときも、代わりの運転手を手配してもらえる
  • 役員の送迎に慣れたドライバーが担当するため、接遇や守秘の面でも安心できる
  • 秘書室は送迎の日時や場所を伝えるだけで済み、本来の秘書業務に集中できる

一方で、月々の費用がかかることや、会社によって対応エリアや料金体系が異なる点には注意が必要です。依頼先を選ぶときは、料金だけでなく、ドライバーの教育体制、秘密保持の取り決め、代わりの運転手の手配体制、事故が起きたときの対応まで確認しておきましょう。

東京で役員車の運転を任せられる会社を比較したい方は、東京で役員運転手を依頼できる会社の比較記事も参考にしてください。個人や少人数の役員で専属の運転手を付けたい場合の費用感は、専属運転手を個人契約するときの月額の目安でまとめています。

秘書室に向いている人・求められるスキル

秘書室の仕事は、表に出ることは少ないものの、会社の中枢を支えるやりがいのある仕事です。どんな人が向いているのかを見ていきましょう。

前に出るよりサポート役が好きな人

秘書室の仕事は、役員が成果を出せるように裏方で支えることです。自分が主役になって目立つよりも、誰かの役に立つことにやりがいを感じる人に向いています。

また、相手が言葉にする前に必要なことを察して動ける「気配り」も大切です。役員の表情や様子から疲れを感じ取り、予定に余裕を持たせるといった細やかな配慮ができる人は、役員から厚い信頼を得られます。

予定変更にも落ち着いて対応できる人

役員の予定は、取引先の都合や社内の緊急事態で頻繁に変わります。そのたびに慌てていては仕事が回りません。

秘書室で活躍できるのは、予定変更があっても優先順位を冷静に判断し、関係者へ順序よく連絡できる人です。マルチタスクが得意な人や、段取りを考えるのが好きな人は、秘書室の仕事で力を発揮しやすいでしょう。

口が堅く情報をしっかり管理できる人

秘書室では、人事異動の情報や経営方針、取引先との交渉内容など、社内でもごく一部の人しか知らない情報に触れます。そのため、知った情報を社内外の誰にも話さない口の堅さは欠かせない資質です。

同僚との何気ない雑談や、家族との会話でうっかり話してしまうことも許されません。書類の扱いやパソコンの画面ののぞき見対策など、日頃の情報管理を習慣にできる人が向いています。

役立つ資格(秘書検定など)

秘書室で働くために必須の資格はありませんが、知識やスキルを証明する資格があると、配属や転職でアピールしやすくなります。

代表的なのが、公益財団法人実務技能検定協会が実施する秘書検定(秘書技能検定)です。文部科学省の後援を受けた検定で、3級・2級・準1級・1級の4つの級があり、受験資格の制限はありません。準1級と1級では筆記試験に加えて面接試験もあります。ペーパー試験は年3回(6月・11月・2月)で、2026年度は第140回試験が2026年11月15日(日)に予定されています。2級・3級は、パソコンで受けられるCBT方式で、希望の日程を選んで随時受験することもできます。

主催公益財団法人実務技能検定協会(文部科学省後援)
級3級・2級・準1級・1級
受験資格制限なし
試験方式筆記(準1級・1級は面接あり)/2級・3級はCBT方式で随時受験も可能
受験料の目安2級5,200円・3級3,800円(ペーパー試験の場合)
ペーパー試験の日程年3回(6月・11月・2月)※2月は2級・3級のみ。次回は第140回・2026年11月15日(日)

これから秘書室を目指す方は、まず2級の取得を目標にするとよいでしょう。秘書検定のほかに、次のような資格やスキルも役に立ちます。

  • MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト):Word・Excel・PowerPoint のスキル証明
  • TOEIC などの語学資格:外資系企業や海外取引のある会社で評価されやすい
  • ビジネス文書検定・ビジネス実務マナー検定:文書作成やマナーの知識の証明

受験料や日程は変更されることがあるため、受験前に公式サイトで最新情報を確認してください。

秘書室に配属・転職するには?

秘書室で働くための主なルートを紹介します。

秘書室配属の求人に応募する

もっとも確実なのは、「秘書」「役員秘書」「秘書室」などの職種で募集している求人に応募する方法です。転職サイトや転職エージェントで探せるほか、外資系企業向けの秘書専門の人材サービスもあります。

求人を見るときは、次の点を確認しておきましょう。

  • 担当する役員の人数(個人秘書かグループ秘書か)
  • 勤務時間と残業の目安(役員の会食や出張に合わせた勤務があるか)
  • 語学力の必要性(海外の取引先や外国人役員の担当があるか)
  • 秘書業務以外に任される仕事(総務・経営企画との兼務など)

社内で実績を積んで異動する

今いる会社に秘書室がある場合は、社内異動で配属を目指す方法もあります。秘書室のメンバーは、社内で信頼の厚い人から選ばれることが多いため、今の部署で正確な仕事ぶりや気配りが評価されることが近道です。

上司との面談や社内公募の機会があれば、秘書室への異動希望を伝えておきましょう。総務部や人事部など、役員と接する機会が多い部署で経験を積むのも有効です。

未経験から秘書室を目指すときのポイント

未経験から秘書室を目指す場合は、これまでの仕事の中で秘書業務に活かせる経験を整理してアピールすることが大切です。

  • 営業事務や一般事務で培った、スケジュール調整や電話・来客対応の経験
  • 接客業で身につけた、相手の要望を先回りして察する力
  • Word・Excel・PowerPoint を使った資料作成のスキル

あわせて、秘書検定2級などの資格を取っておくと、未経験でも秘書の基本を理解していることを示せます。最初は秘書室のアシスタントや派遣社員として経験を積み、正社員を目指すというルートもあります。

秘書室に関するよくある質問

秘書室についてよく寄せられる質問にお答えします。

秘書室は英語で何という?

秘書室は、英語では「Secretary Office」や「Secretarial Office」「Executive Office」などと表されます。社長直轄の部署を指す場合は「Office of the President」、組織の事務局という意味では「Secretariat」が使われることもあります。会社によって英語表記は異なるため、名刺や英文の組織図を作るときは自社の表記ルールに合わせましょう。

秘書室と秘書課はどちらの呼び方が正しい?

どちらも正しい呼び方です。一般的に、社長や役員の直轄の部署は「室」、総務部などの部の中に置かれる場合は「課」と呼ばれることが多く、仕事内容に大きな違いはありません。会社の組織の作り方によって使い分けられています。

中小企業にも秘書室は必要?

必ずしも専任の部署は必要ありません。役員が少ない中小企業では、総務担当が秘書業務を兼ねたり、社長に1人の秘書を付けたりする形で十分なことが多いです。ただし、役員の予定調整が回らなくなってきたり、秘書が休んだときに業務が止まったりするようになったら、体制を見直すタイミングです。

秘書室には新卒でも配属される?

会社によっては新卒で秘書室に配属されることもあります。とくに大企業では、新卒で秘書職として採用し、先輩秘書のもとで経験を積ませるケースもあります。一方で、社内の事情や役員の人柄を理解している人が望ましいとして、ほかの部署で経験を積んだ社員を配属する会社も少なくありません。

秘書室の仕事に役員の運転は含まれる?

一般的に、秘書が役員車を運転することはありません。秘書室の仕事は、運転手との送迎時間の調整や、ハイヤー・タクシーの手配といった移動の段取りまでです。役員車の運転は、専属の運転手や外部の専門会社に手配した運転手が担当するのが一般的です。運転手がいない会社では、秘書が運転を兼ねるよりも、運転業務を外部に任せるほうが安全面でも業務効率の面でも安心です。

秘書室長はどんな人が任される?

秘書室長には、秘書としての経験が豊富で、役員からの信頼が厚い人が任されることが多いです。社長の秘書を長く務めた人が室長になるケースのほか、総務部や経営企画部の管理職が兼務するケースもあります。秘書業務のスキルに加えて、メンバーをまとめるマネジメント力と、経営層の考えを理解する視点が求められます。

役員の送迎・運転手の手配ならフィールドサービス

役員運転手・専属ドライバーの手配ならフィールドサービス|法人契約80社以上・運転委託業務歴31年超・ドライバー在籍60名以上

役員車の運転手の採用や、運転手が休んだときの代わりの手配に秘書室が追われている会社には、フィールドサービス株式会社の運転手の手配サービスがおすすめです。貴社の車両に合わせて、ビジネスシーンにふさわしい運転手をご用意します。

フィールドサービスでご用意できる運転手のサービス

フィールドサービス株式会社は、業務歴31年超・法人契約80社以上の実績を持つ、役員車両の運行管理業務・運転業務の専門会社です。在籍ドライバーは60名以上で、次のようなサービスに対応しています。

  • 専属運転手:同じドライバーが継続して担当し、役員の好みやルートを把握した送迎ができる
  • 貴社車両への運転手の手配・業務委託:採用や教育の手間をかけずに運転業務を任せられる
  • スポット短期:運転手の急な欠勤や、イベント・繁忙期の増便にも対応

全契約で秘密保持契約(NDA)を締結しているため、役員の車内での会話や予定などの情報も安心して任せられます。また、運転手が欠勤したときの代わりの手配や、事故の初期対応まで一括で任せられるので、秘書室が運転手まわりの管理に追われることがなくなります。

この記事で紹介した「運転手が急に休んだら送迎が止まる」「運転手の管理が秘書室の負担になっている」といった悩みも、フィールドサービスに運転業務を任せることで解決しやすくなります。なお、車両はお客様にご用意いただき、運転手のみをご用意する形です。

料金・対応エリアと相談の流れ

料金個別見積もり(条件が決まっていなくても概算のお見積もりが可能)
初期費用・解約手数料なし(契約期間は柔軟に相談可能)
プラン専属運転手/運転手の手配・業務委託/スポット短期
手配までの期間最短1週間
車両お客様の車両を使用(車両の貸し出しは行っていません)
対応エリア東京都全域・神奈川・埼玉・千葉(エリア外も相談可)
拠点板橋本店・日本橋・西新宿・恵比寿・横浜
ご利用者法人・個人(ご家族の送迎にも対応)

相談の流れは、①フォームまたは電話で利用目的や希望条件を伝える→②条件に合ったプランと見積もりの提示→③内容に納得したら契約し、運行開始、という3ステップです。送迎の頻度や時間帯、役員の人数、希望する運転手像を伝えると、より具体的な見積もりを受け取れます。

相談や見積もりは無料です。「まずは概算だけ知りたい」「秘書室の負担を減らせるか相談したい」という段階でも、気軽に問い合わせてみてください。

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